2020/11/25
私は加湿器。
室内の加湿界隈では、ちったあ有名な存在だ。
今から約5年前にこの家にやってきた。
5年もいるということは、世の加湿好きな諸氏ならお気づきだろう。
そう、優れているからだ、人に必要とされるからだ。けっこう仕事ができるタイプなのだ。えっへん、おっほん。
私がいる場所はリビングの隅っこで、ここから見る家族の団らんが何とも微笑ましい。
この家の主がインターネット検索で私を見つけた、それが出会いだった。
私が購入されてから今日までのことを実況形式で振り返ってみたい。
・・・・・
さあ、パソコンの前には一人の男性が座っている。
右手に黒いマウスを持って左手で頬杖をつきながら、パソコンをカチカチと見ている。
何の目的でインターネット検索してるのかサッパリわからないが、何やら家電製品を探しているようだ。
目の前に現れたのは、某有名インターネットショッピングのトップページ。
家具や家電、食品や飲料水、変わったところなどは自動車など多くの物が取り揃っているサイトのようだ。
おっと、男性はそこから家電コーナーに入っていく。
そして、春夏秋冬と季節に分かれているカテゴリーの中からポチッと押した冬場を選択した。
外を見ると、しんしんと雪が降り続いている。
「トンネルを抜けると、そこは雪国だった」と、有名な小説の一節が似合う風景が広がっている。
そして、男性は冬の家電製品をじっくり眺めているではないか。
こたつやストーブ、電気アンカや湯たんぽまでページをくまなく見ている。
その姿はまるで、獲物を狙うスナイパーのようだ。
おっと、そこから加湿器コーナーへ入っていくではないか。
A社B社C社と様々なメーカーの加湿器がある中、一つの加湿器をじっくりと吟味している男性。
そして、おもむろに手元にあったメモ用紙を見た。
どうやらこの男性は、家族から「こういう加湿器がほしい」とリクエストを受けているようだ。
そして、そのメモを見た後で視線を画面からずらして、別の加湿器を見ている。
どうやら、この加湿器は条件に合致しなかった模様だ。
そして、右手の動きが少し激しくなったと思った瞬間、ピタッとある加湿器を目にした男性の動きが止まった。
ポインターが指しているその先の加湿器。
そう!It’s me!私だ!
男性よ、その加湿器は私だ。なかなかいい目をもってるじゃあないか。
男性はマウスで私の体をクルクルと回転させている。
最近のインターネットショッピングは、3Dを使って立体的に商品が見られる。
すごい時代になったものだ。
私が物思いにふけっている間も、男性は私の表裏をじっくりと眺めていた。
おっと、男性は金額面をじっと睨んでいるではないか?
「予算に合うかな」「もう少し安くならないかな」そんなこと思いながら、男性の右手は購入ボタンへとマウスを進めていく。
そしてしばしの沈黙の間、「カチッ」と乾いた音が部屋に響いた。
この瞬間、私はこの男性の家へ行くことになったのだ。
後編に続く
業務用の加湿器レンタル 大阪
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